壊れたフィルムと時雨時



「お前さ、いっそ恋でもしたらどうだ?」
静寂を先に破ったのは先生だったが、突拍子もない発言に思わず吹き出してしまった。


「ふふふ・・・っ」「いや笑い事じゃねぇんだって」
「だって・・・私が恋ですか?」笑いすぎて少し出た涙を手の甲で拭い、尋ねる。
「おう。お前みたいなどこか客観視しちまう奴だって否が応でも他人と深く付き合うことで違う世界を開けるんじゃねえの。」

少し考えた後私は一応反論した。「私には優や彩夏、勇樹がいますよ。」
「何かお前さ、怯えてるだろ。俺にはそれが何なのか分からんがな

」私の目を透き通る様な目で見つめて返す先生に、「失礼します」「あ!おい、」

私は走って逃げた。否、逃げる事しかできなかったのだ。あの目が怖い。私の抱えてるものを全て見透かしてしまう・・・

棘のある、でもどこか優しさを含んだ言葉とカメラのレンズの様な透き通る瞳は真実しか映さない。