――数日後。
登校途中、胡桃からラインで早く来てと、花壇に来てほしいと。
何かあったかと走り急ぐ私。
グランドにはすでに朝練している陸上部、野球部、サッカー部の姿があった。
それを見ながら行くと、遠くから声が二つ。
「 純!」
一人は胡桃、もう一人はグランドの方から。
見れば大きく手を振る夕騎先輩だった。
「 純、誰?」
「 夕騎先輩だよ 」
私は胡桃に話ながら夕騎先輩に向けて手を振った。
「 まさか、サッカー部の?」
「 そう、小野寺先輩が助けてけれたあのボール蹴ったの夕騎先輩だったの、帰り送ってくれたんだよ 」
「 なんで早く言ってくんないの~ あの西原 夕騎先輩も人気の先輩なんだからね 」
「 そうなんだ、友達になろうって言われたの、気さくだよね~ 」
「 純…… あんた知らなさすぎ。恵まれた運持ってたとはさ、ズルい~ 」
「 何言ってんの、それより来てって何だったの?」
胡桃に聞くと慌てて私を引っ張り花壇に行く。
そこで胡桃が満面の笑みを見せながら花壇を見てと言う。
そこには花の種が芽を出していた。
胡桃は恋する先生と二人で植えたからとすごく喜び、いつか花が咲いて、その時気持ちを伝えられたらと顔を赤くして言った。
そんな胡桃が可愛くてたまらず抱きしめてあげた。
「 純~ あんたも早く恋しなさいよ 」
「 え~ 誰に? 」
「 それ私に聞いてどうすんの、自分の胸に聞いてください 」
私の胸に…?
言われても、私の中にはまだ恋の芽吹きはない。
それはいつわかるものか、私は知りたい。