彼は私の手首を離さないまま私に向き直った。



「 2年1組、西原 夕騎(ユウキ)です。ごめん名乗ってなかった… で、君は? 」

「 あ… はい、奥森 純です、1年3組です 」



自己紹介すると、彼は夕陽を背にニッコリ笑った。

そして言った、ありがとうって。



「 先輩だけど名前で呼んでよ夕騎って、友達になろう 」



なんて屈託ない笑顔の人なんだろうと思った。

そして離された手首が熱いと感じた。



「 あの時、ちょっとふざけててさ、それが純に向かって飛んでったからマジでごめんな 」



自転車を引きながら私の歩幅に合わせるように歩く夕騎先輩が私の頭に手を置いて、笑みを見せながら言った。

その顔にドキドキとした。

クラスの男子とは違う雰囲気の先輩二人と知り合った。

夕騎先輩が家まで自転車で送ってくれて、ラインしようと言われて携帯を合わせた。



「 じゃあな、純 」

「 はい、夕騎先輩。ありがとう 」

「 いいよ、またな!」



自転車に乗って帰る夕騎先輩の後姿を見送り家に入った。



小野寺先輩に、夕騎先輩……

イケメンな先輩と知り合っちゃった。

すごい1日だったな~


胡桃に話さなきゃね。

ビックリするかな、胡桃は先生の話するだろうし私の私はあんまり聞かないかも。



一人クスクス笑いながら携帯を手に胡桃へラインを送る。