「 サッカーボール、蹴ったの俺なんだ。ごめん、悪かった 」
あ…
そう言って頭を下げる男子に私は慌てて言った。
「 大丈夫、ほんとに大丈夫です!」
「 ……良かった。もう帰り?1時間待ってくれない?」
「 あ、私も部活で… 」
「 じゃあ 終わったら門のとこにいてよ、約束、じゃあ!」
え、えっ
「 あの、待って! 待って…… 」
言うだけ言ってグランドに行ってしまった彼はサッカー部の人。
1年なのか2年なのか、3年かもわからない。
名前すらも……
約束と言われて勝手に帰る訳にはいかないだろうと思いながら茶道部へと行った。
畳の香りが好きな私は落ち着く。
先輩達がお茶を立てるのを見つめながら、ふと小野寺先輩の手を思い出す。
確かにあの時、手の甲に触れた唇……
私の唇、先輩嫌じゃなかったかな?
大丈夫かな、一瞬だったけど……
保健室でも言ってたし……
“ もうもらったしね ”
って…… きゃあ~!!
唇にしたわけでもないのに、何考えてんのっ
「 ……森さん、奥森さんっ 聞いてますか!」
「 は… はいっ 失礼しました!」
怒られたし…
ダメダメ、集中だよ、集中……
私はあの時の光景を一人思い出しドキドキしていた。
でもそのドキドキが何を意味するかはわかっていなかった。
――部活後。
片付けをして部が揃って挨拶。
1年の私たちが片付けをし、最後に戸締まりし出る。
鍵を先生に預けて花壇へ行くが先生も胡桃もいなかった。



