――放課後。

私は中学時代と同じ茶道部。

胡桃は陸上部でグランドを走っている。


私は部室に行く前に先生に呼ばれていて走る胡桃を見ながら歩いていた。

その前から数人と話がら来る小野寺先輩には気づかず、胡桃が私に気づきグランドから手を振っているのに対し振り返す。



「 胡桃、頑張れー!」



その私の横を通り行く先輩は私に気づいていたが声をかけないまま行ってしまった。

それを見ていたのは胡桃で、先輩が私に振り返っていたのを見たが、それを知るのはずっと後の事。




「 先生、来ましたけど 」

「 奥森これ一緒に頼む、ほら蒔け 」

「 え… 花の種ですか?」

「 そう。1年のクラス前を花でいっぱいにするんだ 」



……先生、胡桃がやりたかったと思うんですけど。

胡桃、ごめんね。




「 先生っ 」



突然の声に振り向けば、胡桃だった。

汗と、息を切らせて慌てて来たのがわかる。



胡桃……




「 先生、純はこんな天気の中で種まきしたらまた鼻血でますよ、代わりに私がやります!」



胡桃、なんて無理矢理なこじつけ……

ほんと先生が好きなんだね。

私でも妬くんだから、可愛い。



「 あ、そうか。じゃあ 山口は右から蒔いてくれ 」

「 はい!先生これ何て花?」

「 知らん 」

「 えー!」



嬉しそうな胡桃を見ながら私は静かにその場から後退。

そして、いきなり目の前に立っていたゼッケンをつけた男子がいた。



え… ん?



右へ行けば右へ、左に行けば左に……



「 あ、ごめんなさ… 」

「 あのさ!」

「 はい 」



視線を下に向ける男子、私はどうしたかと待つ。