――昼休み。


今、私はお昼を早々に食べクラスの男子と図書室にいる。

それは委員長をしている江嶋君に自習で使った本の返却を一緒にやってほしいと頼まれたから。



“ 純、私はご飯ゆっくり食べる派だから ”



胡桃はやりたくない理由をご飯にして手伝ってはくれず、他にも有美、彩夏にも頼んでみたが同じように断られた。

こうして今江嶋君と図書室にいる。



「 俺が返却カードに書くから奥森さん本を棚に戻してくれる? これ終わったら俺もやるから 」

「 うん 」

「 じゃあ、この本ね 」



渡された本を手にどの棚かを見ていくと奥に本を見ている小野寺先輩がいた。

少し見ていたが気づかないため、思いきって側に寄り声をかけた。



「 小野寺先輩 」

「 純ちゃん、だよね 」

「 はい 」



純ちゃん… 純ちゃんかぁ えへへ……

なんだろ、嬉しい。



「 その本借りるの?」

「 いえ、江嶋君と一緒に本を返しに 」

「 江嶋君?」

「 はい、委員長なので頼まれて 」



本を見た小野寺先輩が高い所にある本だからと私の代わりに戻してくれた。

私はお礼を言いながら目が向く先に小野寺先輩の持つ本の手。

私の唇があたった手の甲。



「 純ちゃん?」

「 あ、すいません。じゃあこれで… 」



手を見つめていた自分が恥ずかしくなり、誤魔化すようにその場から離れようとして私は引き留められた。



「 行かせない 」

「 え… 」



小野寺先輩の手に腕を引かれた。

よたつく私を支えるその手に、私の胸の中で何かが跳ねた。

先輩の顔が近くに見えたから……