「今日からよろしくお願いします。」

「うん、宜しくね。」

「久美なら大丈夫っしょ!うちもおるし。」

7月、高校を卒業して1年以上が経った社会人。職場の環境にも慣れて、心に余裕ができた頃。

"バイトしたいなぁ…"

貯金がしたかった私だけど、今の仕事の給料じゃ、正直貯金なんて出来なくて…。
何故って?お姉ちゃんと2人で暮らしいてるの。だから、家賃とか諸々出し合ってるんだけど、そうなるとなかなか貯金出来ない状況が続いて…。
そんな時、中学の時の同級生にたまたま会って、遊んだ時にバイトしたいなって話をしたら、バイト一緒にしようと誘われた。

「いらっしゃいませ。美織です!宜しくお願いします。」

「久美です。お隣いいですか?」

「どうぞどうぞ!初めてみるねー。」

「今日からなんです。宜しくお願いします。」

まぁ、友達に誘われて始めたバイトは飲み屋さんなんだけど。会社が副業禁止だから夜のバイトならバレないよって友達、基美織から言われたから。因みに美織と久美は源氏名。その日一日やってみて、お店の雰囲気も良かったから続けていけそう。

「お疲れ様でしたー!胡桃!ご飯行かない?」

「お疲れ様でした。ご飯?どこ行くの?マック?」

「タダで食べれるとこがあるんだって!相席屋なんだけど。」

「相席屋?」

「知らない男の人とご飯食べるんだけど、でも女の子は二品は無料だし、お酒は飲み放題なんよ。」

「へぇ〜、まぁ時間もあるしいいよ。」

「やった!お腹すいてたんよねw」

美織と会って知らなかった世界を見た気がした。
小さい頃からよく寝る子だった私は夜のバイトとか考えられなかった。相席屋があるのもこの時初めて知った。異性とご飯が納得いかないけどまぁタダでご飯食べられるなら得だと思う。
元々、男嫌いな性格で、高校に上がってある程度異性に慣れる事が出来た。友だちも居るし、昼職に比べると給料もいいから夜の仕事が続けられる気がする。