「…わかりました」 美桜は小さく頷いた。 「ここに居る間は、婚約者…ということにしておきましょう」 「よし」 司は無邪気に笑うと、カップを持ち上げて美桜のものとカチンと合わせた。 「話がまとまったことで、乾杯」 美桜は頷きコーヒーを改めて飲む。 「よろしく、フィアンセさん」 企むような視線と笑顔に、美桜は再びむせた。 すぐそばに、司がいる生活。 これから一体どうなってしまうのだろう。 不安の中に、なぜか甘く疼く感覚が、美桜の心の奥に咲き始めていた。