「でも、お邪魔じゃないですか」
「ん?」
神経質そうな彼と同居なんて、もしかしたら合わないことも出てくるかもしれない。
「仕事の邪魔だけはしたくないので…その…気が利かないところもあるかもだし…」
と、続けたところで、何だか嫁に行く娘の気持ちになり恥ずかしくなった。
これは仕事上の成り行きなだけだ、と思うのに顔を赤くなってしまう。
「まあ、いきなり他人と住んで、気にならないわけがないよね」
「ほら、やっぱり……」
美桜は顔をしかめた。
「けど、昨日も言ったけど──」
司はじっと美桜を見つめる。
「初めてだから」
「はい?」
「紘平さん以外で、仕事中で、そばにいても気にならない相手」
「あ……」
その言葉に美桜の心は一気に騒ぎ出す。
「誰でもいいってわけじゃない」
「……」

