「ま、メリットなら他にもあるけどね…」
どうする? と司の眼差しが挑発するように光った。
それを見て美桜は思わず身構える。
こういう顔を見せるときは、とどめに何か持っているはず。
「無理なら仕方ない。残念だけど、チームは解散…」
「わ、わかりました!」
ほらやっぱり、と美桜は慌てて言葉を遮った。
この意地悪な上司は、結局自分の望む方に人の心を操っていくのだ。
「わからないものは知りたい」という美桜の欲求を満たせるプレゼントをチラつかせ、そして断れないような切り札も持って追いつめる。
解散なんて冗談じゃない。
業界ナンバーワンの才能を持った相沢司のパートナーを断るなんて、馬鹿のすることだと本人が一番よく分かっているのだろう。
「…司さんと一緒に、暮らします。このプロジェクトが終わるまで」
「よし」
司は満足げに微笑んだ。

