「デジタルで遊びを取り入れれば、そこに子供は引かれるし、親も一緒に遊べれば、コミュニケーションが取れて楽しいかもです」
「なるほど」
司はタブレットを開き、早速何かを書き込んでいる。
美桜が話す間、すでに構想が浮かんできたらしい。
さらさらと滑らかにペンを動かしている。
「子供たちが関心を持つようなビジュアルと、アクティビティ…」
そこには森や川の中で動物が動き回る図が描かれていた。
次のコマでは季節が移り、違う種類の木々が生い茂り、動物たちの食物連鎖が描かれる。
「こんな感じ?」
「すごい、あっという間に」
美桜は目を輝かせる。
自分のイメージしたものが、みるみるうちにビジュアル化していくことに興奮した。
司の頭の中にはすでに作品が見えているようだった。
そのくらい手の動きに迷いがない。
「だとするとこのコードは…」
司はくるりと椅子を回転させるとパソコンに向き合い、瞬く間にコードをひとつ書き上げた。
そのスピードに美桜は目を見張る。
ひとつ物を言えば、倍以上になって膨れ上がるクリエイティビティ。
それはまるで、一滴のしずくを紙の上に垂らしたみたいに広がっていく世界。
言葉に出来ない感動と熱いものが胸に広がる。
クリエイティブって何て面白いんだろう。

