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柔らかな日の光が、頬に当たる。
ゆっくりと薄く目を開くと、見慣れない風景がそこにあった。
意識をフォーカスさせていくと、記憶が昨夜まで引き戻される。
夢と現実の狭間で、司とのキスを反芻していた。
色気を含んだ司の顔が浮かんで、美桜ははっと目を見開いた。
「…私…」
瞬きを繰り返す。
そこは司のマンションで、リビングのソファの上だった。
美桜の身体には毛布が掛けられていた。
半身を起こして辺りを見渡す。
テーブルの上には、昨夜飲んだカクテルグラスと、複数のワインボトルが置いてある。
あれから数杯飲んでいたらしい。
少しだけこめかみに鈍い痛みが走り、アルコールの名残を感じた。
昨夜はあれからどうしたのだろう。
思い出せずにいるところへ、背後から声がした。
「おはよ」
「……っ」
振り向くと、リビングの入り口に司が立っていた。

