上からの物言いに、美桜はむっとした。

「ほっといてください、私の気持ちなんかわからないでしょ」

「わかるわけない」

 冷たく突き放され、美桜の気持ちが昂る。

「あなたみたいな人に、フラれた人間の気持ちはわからないでしょうけど、こっちは絶望なんだから」

 酔って面倒くさい女になっているのは、自覚していた。

 けれど今夜だけは止められない。

 堪えていた涙が再び溢れて来て、視界を歪ませる。


 それを見た美青年は、心底めんどくさそうな顔になり息を吐いた。

「泣くなよ、みっともない」


 なぜこんなことを見知らぬ人に言われなきゃいけないのか。

 それでなくても今夜はズタズタになっているのに。

 美桜は手で頬を覆いながら、しゃくりあげる。


「もう私、きっと一生、彼氏も出来ず、キスなんかもせず枯れていくだけなんだから…」

 滅茶苦茶なことを言っている。

 自分でわかっているのに、止められなかった。


 すると彼は、美桜の両手首を掴み、顔をあらわにさせる。


「うるさいな──」


「…うるさくて結構…」



 反論した瞬間、彼の顔が近づいた。