「司さんてさ、雲の上の人って感じでみんな近付き難いんだよ、きっと」
 

 確かに人を寄せ付けないオーラが司にはある。
 

 彼独特の世界の中で生きている雰囲気だった。
 
 誰もが認める技術力を持つ天才。
 
 
 そのため周りとの壁を益々高くし、気軽に接することを遠慮させる。
 

 しかしそれは美桜には当てはまらなかった。
 
 プログラミング技術は、一見してその高さを窺えたが、ほとんど彼の情報を知らないまま接したのがこの結果となった、と志保は分析する。


「美桜の怯まない感じとか、気に入られたのかもよ」

「何言ってるの」

「いや絶対そうだ。あのタイプはプライドが高いから、美桜みたいにハッキリ物言う子が新鮮なんだよ」


 断言する志保に、美桜はそうなのかなと首を捻る。
 

 確かに美桜が持っている司のイメージは皆のそれはかなり異なっていた。


 初対面から強引で毒舌で傲慢、それは再会しても消えていない。