翌日。

私は罪悪感に苛まれながらも、いつもと同じように制服に着替えて学校へと向かった。



途中で陽人に会ったら、どんな顔をすればいいのだろう。



と、何度も不安に思ったが、不幸中の幸いというか、通学途中に陽人に会うことはなかった。


「天久ちゃん、おはよ」

教室に入ると、佐藤ちゃんが私に手を振ってきた。

「おは、よ」

ごめん、佐藤ちゃん。
あなたは何も悪くないけれど、私は今、挨拶を元気に出来る自信がない。


そんな私の態度を見て、佐藤ちゃんは「どした?」と聞いてきた。

「え、まあ、その……」

「昨日の大会で、なんかあったんだ?」


……う、さすが鋭い。



「うん、そんな感じ……」


私が力なく笑うと、佐藤ちゃんは「よしよーし」と言いながら頭を撫でてきた。

「ちょっと、馬鹿にしてるでしょ!?」

「するわけないじゃん。ただ、相当辛そうなかんじだったからさ」

嘘!?
私、そんなに顔に出てた?

「別に、無理に事情は聞かないけどさ。もし、王子様と何かあったなら、ちゃんと和解した方がいいと思うよ」

「なっ、そんなわけないし……!」

慌てて反抗したが、佐藤ちゃんはゆっくりと首を振る。

「……その態度、肯定してるのと同じようなもんだよ」


あー、人付き合いが広くて経験値の高い子には、そんなことまでバレてしまう。

これ以上、ごまかしたところで粗が目立つだけなので、私は素直に首を縦に振った。

「うん」