その願いが届いたのだろうか。 私の右腕を誰かがグイっと引っ張った。 「いくぞ」 辛くて、怖くて、俯いてしまったそのとき。 また、陽人が私を助けてくれた。 「……ん」 私は小さく、だけど精一杯の思いで頷く。 陽人が美香ちゃんに「ちょっと待っててな」と一言声をかけて、私たちはその場を後にした。