ヒカワオトハ。 その名前は、過去の私のこと。 だけど、もう違う。 氷川音羽とは、私は決別したんだ。 自分を、変えた。 「人違い、じゃ、ないですか」 出来るだけ目を合わせないようにして、答えた。 しかし、相手は粘り強かった。 「えー、でも、すンごく似てるんスよねー。『氷点下の女王』ってあだ名の子。知ってます?」 知らない。 知らない、知らない、知らない。 「小学5年? くらいのときかな。急にやめちゃってぇ……」 「やめてくださいっ!!」