昔なら、そのくらい大きな夢を持っていたかもしれない。
だけど今は、自分に見合った目標かどうかくらいは見分けられる。
「あきらめんな」
「は?」
「自分には無理、とか始めっから諦めたらもったいない」
珍しく真剣な顔つきで諭されて、口ごもってしまう。
全く、急にどうしたっていうわけ!?
「……別に、そういうわけじゃ、ないけど」
「じゃ、いーじゃん」
「…………ま、いっか」
いいわけあるかっ!!
思わず自分で自分を突っ込んでしまう。
なんか最近、コイツのペースに振り回されすぎて、思考がおかしくなってる気がする……!
『ま、いっか』
自分の失言を、もう一度頭の中で反芻してみて……、なんだかどうでもよくなってきた。
とりあえず、陽人が笑っててくれれば……そして、私も今笑っているのなら、その選択がきっと正しいんだ。
