16の、ハネ。


昔なら、そのくらい大きな夢を持っていたかもしれない。
だけど今は、自分に見合った目標かどうかくらいは見分けられる。

「あきらめんな」

「は?」

「自分には無理、とか始めっから諦めたらもったいない」

珍しく真剣な顔つきで諭されて、口ごもってしまう。

全く、急にどうしたっていうわけ!?


「……別に、そういうわけじゃ、ないけど」

「じゃ、いーじゃん」



「…………ま、いっか」

いいわけあるかっ!!

思わず自分で自分を突っ込んでしまう。

なんか最近、コイツのペースに振り回されすぎて、思考がおかしくなってる気がする……!


『ま、いっか』


自分の失言を、もう一度頭の中で反芻してみて……、なんだかどうでもよくなってきた。


とりあえず、陽人が笑っててくれれば……そして、私も今笑っているのなら、その選択がきっと正しいんだ。