「パラバドの、オリンピック舞台……」
「そーそー。そこで、メダル取ってさ、世界中に『日本のバドミントン界はパラも強いんだぞ』って見せつけてやりたいんだ」
その瞬間、私は大きなグリーンコートが目に浮かんだ。
そこに立っているのは、今より成長した陽人。
決勝戦。
相手は世界大会で何度も優勝しているベテラン選手。
でも陽人は怯まない。
いつもの、あの大きな笑顔で。
得意なスマッシュを、相手のコートに叩きつける。
表彰式では、日の丸の旗が高々と掲げられていて、陽人が君が代を歌う。
口ずさむんじゃなくて、大きな声で歌ってる。
「いいね、それ」
私がそう呟くと、「じゃあさ、お前も目指せば?」と陽人が答えた。
「…………馬鹿にしてんの?」
「本気だけど?」
「……………………」
私は呆れて、ものも言えなくなってしまう。
