16の、ハネ。


なんか、うーん。
なんでいつもこうなんだろう?

「こっちは真剣に質問してるんだけど」

「俺も、真剣に納得してるんだけど」

あーあーあー、もうっ!!

コイツと話していると、無性にイライラする。

天然にも程があるっつーの!


だけど、気づけば私は笑っていた。

「ダメだ、陽人には真剣な話は合わない」

何だよそれ、と言いながら、陽人も笑っていた。

それを見て、思う。


陽人が今笑っているならそれでいいかな、と。

全てを知りたいとか、高望みする必要はないかな、と。

誰にだって、言いたくないことの一つや二つあって当たり前だ。
……私にもあるのと同じように。

陽人なら、重い話も全部話してくれるかなって思ってたけど、彼も人間なのだ。
全部が全部、素直に話せるってわけじゃない。


「やっぱり、なんでもないよ」


なんでもない。


なんとなく、その響きが気に入って、私はもう一度「うん、なんでもない」と呟いた。