16の、ハネ。



いつも通り学校に行き、教室に着くとなぜか陽人がいた。

「……急にどうしたの? てか朝練は?」

「テスト1週間前だから、朝練はオフ。それで、俺が今ここにいるのは、音羽と連絡交換するためだ」

踏ん反り返ってそう言う陽人は、自分のスマホを高々と掲げた。

「ちょっと、先生とか生徒会に見つかったらどうすんの!?」

「この時間先生たちは会議だし、生徒会だって任務中以外は何も言わねーよ」

確かに、陽人の言っていることは間違いではないが、それでも私は辺りをキョロキョロと見渡してしまう。

「……見つからないうちに、早く交換しよ。LINEだよね?」

と私が聞くと、「ああ」と陽人が答えた。

「んじゃ、フルフルやろーぜー!」

という陽人の言葉に、私は思わず「えっ!?」と驚愕する。

「QRコードじゃないの!?」

「フルフルの方が楽しいじゃねえか。それに……降れば振るほど、電波良くなりそうだし?」

「いやいやいや、全然合理的じゃないし。あと、フルフルやっても中々繋がらないよ?」

私はそう反論したが、陽人は強引に私のスマホを奪って、一人で二つのスマホを振り始めた。

「とりゃぁぁぁぁぁあああ!!」

「…………うん。もう私、何も突っ込まないわ」

しばらくの間陽人は全力で振り続ける。
私はと言うと、先生などが来ないか心配でずっとキョロキョロしていた。

「おっし、追加完了! なんかあったらこれで連絡なっ!」

「はいはーい」

「『はい』は一回!」

と言われたが、私は笑って誤魔化した。