16の、ハネ。



そこでふと、陽人と打ち合っている相手の子を見た。



同い年くらいだろうか。



漆黒に輝くツヤのある黒髪を、頭の高い位置で結んでいる。

淡いピンク色の記念Tシャツに、グレーの短パン。

そこから伸びる、筋肉質の……それでいて細くスラッとした長い足。

左腕は銀色に光り、右腕は小麦色に焼けた肌。



そして、ヒマワリのような明るく可愛い笑顔。

それは決してつくり笑いなどではなくて。
ただ純粋にバドミントンという競技を楽しんでいて。



あ。


この子だ。
この子が、陽人が想いを寄せる女の子だ。



女の勘とかいうやつが、そう言っていた。



「なるほどね」と納得してスッキリしたが、その反面どこか寂しく感じている自分がいて、実際は複雑な気分だった。





あれ、なんだこの感じ。




人はこういうときのことを「嫉妬」と呼ぶんだけど…………。




「ないっ、それは、絶対ないっ、はずっ!!」

私はしばらくの間、自分にそう言い聞かせていたのであった。