そこでふと、陽人と打ち合っている相手の子を見た。
同い年くらいだろうか。
漆黒に輝くツヤのある黒髪を、頭の高い位置で結んでいる。
淡いピンク色の記念Tシャツに、グレーの短パン。
そこから伸びる、筋肉質の……それでいて細くスラッとした長い足。
左腕は銀色に光り、右腕は小麦色に焼けた肌。
そして、ヒマワリのような明るく可愛い笑顔。
それは決してつくり笑いなどではなくて。
ただ純粋にバドミントンという競技を楽しんでいて。
あ。
この子だ。
この子が、陽人が想いを寄せる女の子だ。
女の勘とかいうやつが、そう言っていた。
「なるほどね」と納得してスッキリしたが、その反面どこか寂しく感じている自分がいて、実際は複雑な気分だった。
あれ、なんだこの感じ。
人はこういうときのことを「嫉妬」と呼ぶんだけど…………。
「ないっ、それは、絶対ないっ、はずっ!!」
私はしばらくの間、自分にそう言い聞かせていたのであった。
