16の、ハネ。




体育館に着いた。まだ照明が付いたばかりの薄暗い大体育室。その観客席に腰を下ろした私は「こんなに小さかったっけ?」と呟く。すると、陽人がその声にピクリと反応した。

「お前、来たことあんの?」
「昔ね。小学生のとき。あの頃は大きいと思ってたけど、それは自分が小さかったからなんだろうな」

しみじみと言いながら、私は感情が顔に出ていないか気をつけた。

「ふーん、俺はいつ見てもデカイと思うけどなー。……ま、いいや。俺はフロア降りるけど、なんかあったら声掛けてくれりゃいいから」

そう言って陽人は、階段をカツンカツンと音を立てて降りていく。私は、その金属音に若干の違和感を覚えたが、特に気にするようなことでもないと思い、そのままスルーした。