サラリとそう言って、彼は笑って手招きした。
もう何もかもが面倒になって、私は無言で彼の横に並んで歩き始めた。我ながら、どうかしてると思う。
すると彼の顔は一層明るくなった。
こんな格好で人前に出れるのか。
お母さんは心配していないだろうか。
得体の知れない男子生徒なんかにフラフラと付いていっていいのか。
この人と一緒にいるところを知り合いに見られて、変な勘違いはされないだろうか。
他にも突っ込みどころは山ほどあった。
それでも、彼に付いて行こうとしたのはあんまりにも嬉しそうに笑っているから。
こっちはまだ頷いていないのに、まるでそうしてくれることを信じているかのように。
……変な奴。
