彼の言った『ソウタイ』という言葉を、『総体』……つまり『総合体育館』に変換するのに時間がかかった。
だって、この人、まるで「学校サボるので『早退』しまーす」ってノリで話してたんだもん。
いやいやいや、問題はそこじゃない。
「ちょっと、私は質問に答えるとは言ったけど、君の要望を聞くとは言ってないんだけどっ！？」
私が反論すると、彼は「待ってました！」と言わんばかりにドヤ顔をしてきた。
「あっれれー、おかしいなー。さっき、雪を当てたお詫びに俺の言うことなんでも聞くって言ってたよねー？」
「そ、それは君が怒ってると思ってたからだよ」
「相手が怒ってなかったら、自分の言葉に責任持たなくてもいいんだ？」
「そういうわけじゃないけど……」
「じゃ、いいよな。金曜は、部活とは別にサークルで練習してんだ。お前も来いよ」
