16の、ハネ。




とりあえず、お互いの買い物を済ませてから店の外に出ることにした。
先に私が支払いを済ませて外に出る。

チラっと店の方に目をやると、店内は意外にも混んでいて彼はまだレジ前の列に並んでいた。右手で焼きそばパンを握りしめながら。


本当は寒いのは苦手だから屋内で話すのが良かったけど、なんせ、この阿保が何をやり出すか分からない。寒さに耐える方が、店内で叫び始めたりされるよりかはマシだ。皮肉にも、ほんの1週間前ほどに、雪が背筋に流れるという寒さも経験したし。



私はふう、と息を整えて今から起こることの対策を考えた。


こんなにタイミングよく、コンビニで出会うなんて、逆恨みに違いない。素直に謝った方が良い。下手な言い訳は無用。

ちなみに、この前テレビでやっていたのだが、謝罪は過去形にしてはいけないらしい。過去の話にしてしまうと、今はもう反省していないように見えるからだ。

あとは、「謝罪の印としてあなたの言うことを一つだけ何でも聞きます」みたいな言葉を添えればいいのか? うーん、普段、喧嘩など縁のない世界で生きてきたからか、こういう時の対処がよくわからない。でも、ただ謝るだけじゃダメなのは確かだ。


うん、怖いけどそうするしかない。いざとなれば、警察を呼べばいいのだ。


冷たい風が吹き、耳がピリピリと痛くなった。

早く終わらせてしまおう。ためらう必要なんかない。勇気を振り絞ればいい。
こんなの、長い人生の中のたった一瞬に過ぎないのだから。