実は良成が来ることに対して、やたら意識しすぎ、身構えているあたりで本末転倒なことを、部屋を出た直後に鼻で笑ったことは彼だけが知る事実だった。




だらだらと階段を降りる和真の姿は、相当だらけていた。


良成の並べると、正と負。月と鼈そのまんまだった。


しわくしゃのシャツに切れのないだらぁっとつるされたネクタイ。その上からかぶせられたブレザーは、所々ほつれとしみがつき、かろうじて腰に引っかかったようなズボンの裾は擦り切れて、学生と呼ぶにはあまりに見窄らしかった。


当の本人はそれが恥ずかしい事だという意識はこれっぽっちも無いのだから大惨事である。