カノンさんのお父さんとお母さんは、3年前に事故で亡くなっています。
今は、2匹の犬に73頭の羊と暮らしています。
毎日ハードな仕事をこなしながら。
一度、羊飼いを手伝った事があります。まったく言うことを聞いてくれませんでした。
それを一人でやってるんです。
それでも幸せなんでしょうか?
『カノンさんは、幸せですか?』
「え? ええ、幸せよ。リリィもスピードも羊達もいるし、マルジロさんもボロも居てくれるもの。幸せよ」
『そうですか。それはよかったです。お父さんとお母さんが居なくても、幸せなんですね』
……それ以降、カノンさんは話をしてくれませんでした。
「ごめんなさい。今日は……帰って……」
下を向いたまま、カノンさんは言いました。ワタシの背中を押して、外へと追いやります。
扉をしめられ、中からは聞いた事のない声が聞こえました。
高い声、そして水滴が落ちる様な音をワタシの耳は保存してます。
なんでしょう……。
……今日は帰ります。
羊毛とミルクは、頂けませんでした。
今は、2匹の犬に73頭の羊と暮らしています。
毎日ハードな仕事をこなしながら。
一度、羊飼いを手伝った事があります。まったく言うことを聞いてくれませんでした。
それを一人でやってるんです。
それでも幸せなんでしょうか?
『カノンさんは、幸せですか?』
「え? ええ、幸せよ。リリィもスピードも羊達もいるし、マルジロさんもボロも居てくれるもの。幸せよ」
『そうですか。それはよかったです。お父さんとお母さんが居なくても、幸せなんですね』
……それ以降、カノンさんは話をしてくれませんでした。
「ごめんなさい。今日は……帰って……」
下を向いたまま、カノンさんは言いました。ワタシの背中を押して、外へと追いやります。
扉をしめられ、中からは聞いた事のない声が聞こえました。
高い声、そして水滴が落ちる様な音をワタシの耳は保存してます。
なんでしょう……。
……今日は帰ります。
羊毛とミルクは、頂けませんでした。
