わたしのキャラメル王子様

悠君がうちに泊まったのは、心霊番組があったあの日だけ。



部活を終えてそのままいなくなる日もあったし、夕御飯を食べてから出ていってしまう日もあった。



でも目を覚ますといつも隣ですやすやと悠君は眠っていて、最初こそ、そのことにうろたえたけど、最近はそれが普通になっちゃってた。



いなくなる理由が気になる。
必ず戻ってくる理由も気になる。
何も話してくれないし
真実を問いただすのは怖い。



傷ついたり、この居心地のいい関係が壊れてしまうくらいなら、今のままでいいとさえ思ってしまう。



だけど、これはあんまりだよ。
あんなに好きだ好きだ言っといて
持たせるだけ気を持たせておいて
私が目撃したってちっともおかしくない学校なんて場所で、堂々と会ってるなんて。



今日は行けないってわざわざ知らせたりして、それってこんなふうに咲田さんと校内デートするためだったってことだよね?



私のことバカにしてる?
誰にでも好き好き言ってる?
悲しいなんてものを通り越して、
もうバカバカしくなってきた。



悠君のこと好きだけど、大事だけど、なんかもう何を信用していいのか全然わからないよ。



だからもう、今夜
うちには帰らないって今決めた。