わたしのキャラメル王子様

その日、京ちゃんとお昼をすませると職員室に立ち寄った。
悠君からは用事で行けないと聞いていたし、顧問にお使いを頼まれていたから、言われるまま体育館裏の倉庫へ向かった。



備品を取って一応体育館のなかをチェック。
男の子たちがわいわいやってたから、もしかしたらいるかも、なんて期待して。


なかをそっと覗いてみたらほら、やっぱりいた。
みんなと楽しそうにバスケをしてる悠君発見。遠くから眺めるのは久しぶりだった。



シャツの袖を肘の辺りまで上げて、ネクタイはゆるゆるで、前髪は邪魔なのかアップにしてた。



おでこ出すと雰囲気変わるんだよね。
それにしても美形全開。
少女漫画の世界から飛び出してきたのかと思うほど。



キャラメル色のふわふわの髪はノーカラーだし、手足は長いし背は高いし、どんだけ容姿に恵まれてるんだろ。
くしゃくしゃの笑顔は小学生のときのまんまだけど。



「悠介行け!そこからせめろ!」



「行け!俺のワンハンドオーバースローシュートっ!!」



予鈴と同時に野球のピッチャーみたいにふざけて放った悠君のスリーポイントシュートが、みんなの予想を裏切ってスパンと決まった。



体育館中がどかんと沸いて、
その中心で悠君は無邪気に笑ってる。