わたしのキャラメル王子様

「……お菓子交換でしょ?私もちゃんとあげる」



精一杯折れてみたっけ。



「……じゃ、俺ジュースおごるからさ」



「うん」



「今度俺のオススメ映画、一緒に観よ?」



「……いいよ」



急に顔が熱くなってきた。



「俺、さっきの主人公どうやっても好きになれないよ?」



「うん、それでいいと思う」



「俺の好きな人と真逆なんだもん」



「ん?」



「聞き流して」



「ん?ん?」



もう悠君は、いつも通り笑っていて。



「たまには帰り、俺のこと迎えに来てもいいからね」



「出たー、上からだ?」



可笑しくて吹き出してしまった。



「気が向いたらね」



可愛げのないことを言ったけど、ほんとうは悠君のことをもっと知りたいなって思った。
もらったのど飴は食べられなくて、大切に取っておいたし。



悠君は子供っぽい。
でも、ほんとは繊細で優しい。



いつからなんだろう。
私のなかがこんなふうに、悠君でいっぱいになったのは。