わたしのキャラメル王子様

「だって疲れない?いつもあいつに振り回されてるっぽいし。俺だったら好きな子の観たい映画につきあいたいなぁ、って」



イケメン過ぎるセリフに、返す言葉を見失ってしまった。南君にはなんていうか、モテる男子のクールさと余裕があるんだ。



「佐野は自分を押し付けすぎだよな。よそのクラスに飯食いにくるのだって意味不明だし」



「そ、そっかな」



「粘着すぎて困らない?あれ」



「あれ、って……」



「あぁ、でも女子に人気あるんだっけ。まぁ見た目がいいからかな。それだけだろうね」



南君はめんどくさそうに、ひとつ背伸びをした。
私はそんな彼に、モーレツにはらわたが煮えくり返ったんだった。



「そうだ、今度一緒に……」



バンっっ!



「な、なに?」



気づいたら、彼の言葉を遮って机を叩いていた。
両手の平がビリビリしてる。



「外の空気吸ってくる……」



とてもじゃないけど穏やかでなんていられなかった。
すべてを見守っていたはずの京ちゃんの声すら振り切って、廊下へ飛び出した。