わたしのキャラメル王子様

「お兄さんがおごったるから何でも頼みな~」



院内にしてはオシャレな可愛らしいカフェで席につくと、使い慣れた松葉杖を立て掛けて大沢さんは嬉しそうに笑った。



「既婚者子持ちはお兄さんじゃないもん。おじさんです!」って京ちゃんがそれに明るくツッコミを入れていた。



「えーっ、大沢さんって奥さんも子供もいるんですか!」



飄々と自分の世界を生きてるタイプだと思ってた。がっしりしてて無精髭がワイルドで、身に付けているものもさりげなくオシャレ。とてもそんなふうには見えない。



「そんなに驚くほど意外?可愛い奥さんと坊やがちゃんといるよ俺。ちなみにさっきの師長さんがチビのお産についてくれたんだよね、あの人その頃産科にいたからね」



でもまさか骨折して自分まで世話になるなんて……と大沢さんは苦笑いしていた。



私達の頼んだヨーグルトパフェと大沢さんのコーヒーが揃うと、大沢さんは嬉しそうに悠君の話をし始めた。



「あいつさ、俺の骨折の原因がバイクって知るなり、単車乗りってモテますか?って聞いてきてさ」



それを聞いて「なんかそれ佐野君らしくない!」って京ちゃんが探りを入れた。



「ほんとだって、『彼女が馬じゃ嫌だって言うんです!』とか真顔で言うからもう爆笑。俺一瞬であいつのトリコになったって」



「うそだぁ、悠君そんなこと言ってたんですか?」



「言ってたよ、かなり前のめりで」



「沙羅、顔まっかじゃーん!」



二人にクスクスと笑われて赤いほっぺたを両手で隠すしかなかった。