わたしのキャラメル王子様

「この髪、いつも大沢さんが切ってくれてんだよ」



京ちゃんは、ふわりと巻いた背中まである髪を指でつまんでみせた。



「最近見かけないからどっかに飛ばされたのかと思ってた!」



「縁起でもないこと言うなバカ!」




中学の頃からずっと大沢さんに髪を切ってもらっているから、こんな冗談も言い合えるほどの長い付き合いなんだって。



「それにしても二人が同じクラスだなんて……世間は狭いね」



大沢さんは普通に感心してる。



「再来週くらいにはカットに行きたいから早くお店に復帰してね」



「相変わらず無理いうなぁ」



呆れて笑ってるけどご指名を頂いて大沢さんは嬉しそう。



「あの、これ。悠君からあずかってきました」



大沢さんにバイクのカタログを返すと、彼の目がキラキラと輝いた。



「で、あいつどれに乗りたいって言ってた?」



「へ?なんのことですか?」



不思議に思って聞き返したら、時間あるなら下のカフェでちょっと話さない?って大沢さんに誘われてしまった。