三日後の金曜日、俺は倉田奈緒をデートに誘った。


麻布の日本料理屋で和食を食べたあと、六本木で映画を見た。



奈緒が選んだ映画は、フランスの恋愛ものだった。


最後にヒロインの少女が死んでしまうという、ちょっと切ないストーリーだった。



映画を見ながら、俺はときどき隣の席にいる奈緒のことを見た。


スクリーンを見つめる彼女の顔は様々な色に照らされて変化した。

その横顔を見ながら、彼女のことを愛しく思った。



たとえ、この指で触れることが出来なくても、


彼女を抱きしめることが出来なくても、


俺は彼女のことが好きだ。



どんなことがあっても、俺は奈緒のことを守る。



そんなことをずっと考えていた。