「だから君は俺に確認をしたのか」


「え?」


「倉田奈緒が、自分以外の男と肉体関係をもったかもしれないと不安になった」


「何言ってるんですか。馬鹿馬鹿しい」


「そうかな。俺には君が嫉妬しているようにしか見えないがね」

石黒は落ち着きの無い様子で、あたりの木々を眺めた。



「アイツが誰と付き合おうと、興味ありませんよ」


「本当に?」


「当然」



「なら、俺が彼女を もらっても構わないね?」



「奈緒と付き合うんですか?」


「ああ」


「抱けない女と?」


「ああ」


石黒に言われて、俺は自分の気持ちに気がついた。



俺は倉田奈緒のことを愛している。


他の男になど渡したくない。


そのことが、はっきりとわかった。