それから暫く忙しい日が続き、倉田奈緒とも逢う機会がないまま2週間が過ぎた。



都内で行われた新車の発表会が終わった日、俺は発表会に参加していたコンパニオンの細川レイをホテルに誘った。


レイは会社が所有しているレーシングチームのキャンペーンガールでもあった。



二人でシャワーを浴びながら、俺は均整のとれた彼女の身体を眺めた。


細い腕

ツンと上を向いた形のいいバスト

細く引き締まったウエスト

張りのある小さなヒップ

コンパスのように まっすぐ伸びた長い脚


さすがにモデルだけのことはある。



聞くと、毎週のようにエステに通い 肌の手入れをしているのだそうだ。


人前に立つ仕事なので、身体の手入れは惜しまないと彼女は言った。



透き通るような白い肌に触れながら、俺は ふと倉田奈緒のことを思い出した。



絶対に触れてはいけない身体



絶対に抱くことの出来ない身体




抱かれることが女の幸せなどという考えは、男の勝手な理屈かもしれない。


この世には、プラトニックな関係も存在するのだ。

セックスだけが全てでないことは、よく分かっている。



倉田奈緒の切ない表情が俺の頭の中をよぎった。


彼女は本当に・・・



「さっきから何考えてるの?」

ベッドの上でレイが不満そうな顔をした。


「ゴメン。仕事のこと考えてた」


「嘘ばっか」

そう言うと、彼女は俺の背中を軽くつねった。


女の勘は鋭い