「私が出した条件」


『条件』と聞いて、俺は広瀬の言っていたことを思い出した。

条件は年収ウン千万円



・・・まさか。



「みんなはその条件を聞いて無理だと?」

倉田奈緒は頷いた。


「条件って、どんな?」


「え?」


「良かったら教えてくれよ」


「でも、・・・稲垣さんは絶対に無理だと思う」



絶対に無理?



「普通の会社員じゃダメってこと? 医者とか弁護士かい?」


彼女は何度も首を横に振った。


「違います。そんなんじゃ・・・」


「じゃ、何?」


「私の出した条件は・・・」


「条件は?」