ホテルの窓のガラス越しに眼下の街並みを眺めた。


高層階からの夜景は何度見ても綺麗だ。


色とりどりのネオンサインに飾られた街は 宝石を山積みにしたように光り輝き、空に浮かぶ雲さえも明るく照らしていた。



「タバコ吸ってもいい?」


バスローブを羽織って、綾が窓際まで来た。



「どーぞ」


俺がそう答えると、彼女はショルダーバッグからシガレットケースを取り出した。



望月 綾(モチヅキ アヤ)


経理部の女の子だ。



俺は机の上にあったガラスの灰皿を彼女に手渡した。