そして、私は2週間後に公衆電話を目指す。

次のテストで10番以内に入ったらスマホを買ってもらえる予定だったから、まだ持っていないくて。


崎口の軽帯電話の番号が一応知っていて。





「なあなあ、崎口とどうなってんの?」

3学期の終業式。3年生の卒業式の日。

前の席の男子がにやけてそう言ってきた。

「なに言ってんの?もうその話古いって」
「は?なに、別れたの?」


一切しゃべらなくなった私達が、別の意味で好奇の視線を浴びていたのは気づいていたけれど、その噂はあっという間に広まった。

そして1年が終わって、2年のクラス替え。
3年間でたった一度のクラス替え。

私の名前の前には並んでいる名前に、席順の隣にある名前に、私は心臓がドクンと痛んだ。


教室にはいって席につくと、周囲の視線がやけに痛かった。




こんなんなら、好きにならなきゃよかった。

なんで、こんなことになっちゃったんだろう。



彩加ともクラスは別で。

フォロー役の小林もいなくて。


席について5分くらいで入ってきた崎口が1年前みたいに隣の席に座ると、ほんのり外のまだ冷たい春の風の香りがした。