「…返事、とか」
「い、いま!?」

どうしたらいいかわからなかった。
だって、告白を受けて、OKの返事をしたことなんてない。

びっくりして顔を上げると、崎口が笑い出した。

「ふ、普通笑う?人のことからかってるでしょ」

返事なんて、決まっているのに。

「いや、慌ててるな、って。そっか、こういう気分だったのか」

崎口が楽しそうに笑うから、余計にどうしていいのか分からなくなる。
あの頃、私に返事をしに来てくれたとき、崎口はこんな気持ちだったのかな。

いや、これは私の好きな人が自分だって気づいた時?

どちらにしても、驚いて思考が正常に働かないのは分かった。

わかった、けど。


でも、ここで自分の本当の気持ちを言わなきゃいけなかったんだ。
多分、これは、ラストチャンス。

「付き合ったからって、急に態度が変わるのは、いや。

冷やかされるのもいや。
勉強が手につかなくなるものもいや。

でも、崎口に避けられたままなのも、いや。

だから、慣れるまで…皆には内緒でとかは、だめ?」

付き合うとか、彼氏とか、よく分からない。
周りがどうして普通にしていられるのかなんて、全然。

でも、これ以上もやもやするのは、もういやだ。