私、きっと酷いことしてる。
ううん。きっとじゃない。
お母さんにもお父さんにも、ナナカにも。
私は忘れてしまってるのだから。
相手はどんな気持ちなんだろう。
私は分からない。でも相手は分かってる。いきなり自分のことを忘れられたんだ。
酷いことしてる。
こんな私がいてもいいのかな……。
「よし!荷物纏め終わり!ちゃっちゃと退院の手続き終わらせて帰ろ?あ!途中でケーキ買おうね〜」
「ケーキ?」
「ナツミの退院祝い!」
「そっか、ありがとう」
笑ってそう言うとナナカは安心したように笑った。
ほら。私が笑うとみんなも笑ってくれる。
ナツミはどんなの子だったのかな。上手にナツミ出来てるかな。
今の私に出来ることは少しでもナツミになりきること。そして、みんなのことを早く思い出すこと。
早く、思い出さないと。