「ナツミ!退院おめでとう!」


「ありがとう」



笑ってそう言うナナカに私も笑う。


今日は退院の日。仕事で来れないお母さんとお父さんの代わりにナナカが来てくれた。


一緒になって荷物を纏めてくれるナナカを見ながら私はぼーっと考える。


ナナカは小学生からの友達らしい。初めて会った時に敬語で喋ったら凄く怒られたのを覚えてる。


それと、酷く悲しい顔をするんだ。


時々。私を見て。一瞬。ほんの一瞬。酷く悲しい顔をする。



「──ナツミ?どうしたの?」


「えっ、」



ナナカの声にハッとするとナナカは心配そうに私を見つめていた。


私は慌てて笑う。



「大丈夫だよ。少しぼーっとしてただけだから」



そう言うとナナカはほんの一瞬。悲しい顔をしてすぐ「そっか!」と笑った。