病室からそっと窓の外を見た。
ああ、そっか。もう桜の時期かぁ。なんて思いながら風に舞う桜の花びらを眺めた。
するとノックの音と共にドア越しに声を掛けられた。私はそれに返事をする。
開かれたドアからはお母さんとお父さんだという人が顔を覗かせた。
「ナツミ、調子はどう?」
「うん。特に何ともないよ」
私はそう言って笑う。
そう。お母さんとお父さん"だという人"。私は本当にこの人達が母親と父親だということが分からない。
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