相手の女は、おどおどしながら私を見上げた。

ありえない…。

仮にも男の部屋に上がるのに、ボサボサのショートヘア。
癖毛なのが一目でわかる。

せめてアイロンするとか、縮毛かけるとかすればいいのに。

服だって、テキトーなセーターに汚いジーンズ。
セーターには毛玉が出来てる…。

「外見が全てじゃない」
もっともだとは思うよ。

でも、最低限のことしないで愛されようなんて図々しい…。

アキラが相手に私を紹介した。

「こちらはアイ」

「はじめまして」
「はじめまして。アイさん。私はアイコといいます。一文字違いですね」

「偶然ですね。どういう字ですか?」

話したくないけど、とりあえず話題を振る…。

「藍色のアイです」

「そうなんですか。私も藍色のアイです」

嫌だ。こんな女と同じ字だなんて…。


アキラが気まずそうに話し始めた。

「アイとは高校2年からのクラスメイトなんだ」

・・・彼女だって言ってくれないんだね…。


アイコがいたたまれなそうに言う。
「私、飲み物買ってきましょうか?アイさんは何がいいですか?」

「紅茶系をお願いします」

アイコがコンビニに出かけた。


私は何を言っていいかわからなくて、黙っていた。

アキラが言い訳がましく話しはじめた。
「アイコさんとは、この前会社の飲み会で一緒になったんだ。
送ってくれるって言われて、とりあえず部屋に上がってもらった。
それからちょくちょく一緒にメシとか行ってる」

「それって浮気?」って聞きたかったけど、いきなりストレートに聞くのは
やっぱり怖い…。

「そうなんだ…」