「あははははは! 佐々木さんっていい! 面白いよ!」

目尻に涙をためながら笑い続ける小澤くん。

その姿は大爆笑という言葉が一番ぴったりくる。

私といえば、初めて見る小澤くんの笑顔に……そして表に吐き出された感情に、視線も心も奪われていた。

カワイイ!

普段、物静かで大人っぽい小澤くんからは考えられない姿だ。

大爆笑する小澤くんは私が知っている小澤くんよりずっと子供っぽく見えた。

あ……。

その時、私はあることに気付いた。

胸が甘くて切ない気持ちでいっぱいなのだ。
この感情をどう説明したらいいのか？

「佐々木さん、今度は傘、持っていかれないように気を付けなよ」

ようやく笑いをおさめた小澤くんは目尻の涙を拭いながら、その一言を残して私から離れていった。

残された私は小澤くんの背中を見つめながら手渡された図書室の本をギュッと抱きしめる。

その本に小澤くんの温もりが見つけられるような気がして…何だかとても切ない気持ちになってしまったのだった。