職員室で担任の先生に会い、二人で教室に行く。

双子なんだから、お互い違うクラスにしてくれればいいのに。


先に先生が私達の事について説明する。

「では、藤宮杏さん、茜さん、入ってきてく
ださい」


呼ばれたので教室に入る。

いろんな人の視線が集まり、この空気が嫌になる。


「藤宮杏ですっ!茜の双子の姉です。
転校初日なので緊張するんですけど…

みんな仲良くしてくれると助かるなっ」


…さすが杏。
私には一生をもってできない事だ。


男子を見ると、みーんな目がハートだ。
男子だけではない。
女子達も目をキラキラしている。


なんかプレッシャー…


『…藤宮茜です。杏の双子の妹です。
よろしくお願いします……』


もっとなんか言った方がいいと思ったが、
めんどくさいのでやめた。


「では杏さんはあの真ん中の席に。

茜さんは早川君の隣の席に」


早川…?って誰ですか???


あちこちみてもその人の事を知っているわけじゃないから分かんない。



すると。






「ここだよ。」






透き通るようなカッコいい声。




おそらく、「早川」であろう人物が手を挙げていた。


小走りでその人の隣の席へ行く。


「早川 瞬。一応生徒会書記だから、分からな
事とかあったら言って。


これから一年よろしく!」


はやかわ、しゅん。
二年生で生徒会書記ってことは、来年は会長か?


『よろしく…お願いします…』

「あとさ、なんか堅苦しいから敬語じゃなく
ていいよ。同じクラスメイトだし」

『え、あ、…うん』


自己紹介はともかく、自分の口調を指摘されたのは初めてだ。

「では、HRを終わりにします。
次は理科なので移動してください」


理科ってことは移動教室。

仕方ないから杏と…

と思った時。

「ねえねえ杏ちゃんっ!一緒に行こ?」
「いやいや、杏は俺たちと行くんだよな?」
「うっわ、男子きも!杏ちゃんは私達と行く
んだよね?」


杏の周りに人が集まる。
私の周りには誰もいない。

いくら顔と性格が似てないからって、
こんなにも違うものなのだろうか。

まぁ、こんなことは初めてじゃないからいいのだけれど。



と考えてるうちに、みんな行ってしまった。

…足はや。

廊下は歩くんだぞ。



ってか、移動教室って誰かに連れっててもらわなくちゃダメなんじゃ…