「で、いつになったら本題に入ってくれるわけ?」

こいつはどうも、詩織に知られたくない話をするつもりらしい。
双子の弟の方はまだ考えが読める。
まあ、ニコニコしてて本心を隠していそうな気がしなくもないが…
少なくとも誰かに危害を与えるようなやり方はしないだろう。
でも、こいつは多分目的のためには誰かが傷つくのは厭わないだろう。
多分、詩織以外の他人の女子はどうでもいいとすら考えていそう。
いや、実際どうでもいいのかも。
現実、詩織の友達である私にすらこの態度だし。

「あんた、どの程度俺たちの関係を察してるわけ?」

やっぱりね

「別に。あんた達が何らかの理由で必要以上にあの子に対して過保護になってるということ、その理由はおそらくあの子は知らないであろうということくらい?あと、あんたがおそらく、詩織や家族以外の女はどうでもいいとすら思ってるであろうこと。」

(あくまで想像でしかないけどね)

「そ。」

あれ、表情変わらない。
あの子のことだから少しは動揺するかと思ってたけど…

「正解かどうか教えてくれないわけ?」
「それを教える必要は無いと思うけど?」
「質問に質問で返さないでくれる?少なくとも私はあの子のことを守りたいって思ってるし、何かあったら所詮性別が違うあなた達双子より私の方が対処してあげられる自信はある。何かあった時すぐに動けるのは私なんじゃないの?それだけで理由は十分でしょ。」

そう、2人はいくら仲が良かったとしても所詮は性別が違う。何かあった時すぐに対処できるように、あの子のことは知っておきたい。

「やっぱりね、あんたが知りたいことは俺たち2人の事じゃなくて、詩織のことだったか」
「今更何を」
どうせ知ってるくせに
「今はまだ教えるわけには行かない。あんたが変なことをしないとも限らないし、俺はまだあんたを信じきれていない。あいつはあんたのことを信用してるみたいだけど。もし信用に足る人物だとわかったら時が来たら教えるよ。それに君にも何かあるみたいだしね。」

(へえ、そこまで知ってるわけ。やっぱりあの子の言ってた頼りない息子みたいな印象はただの演技ってわけか)

「あんたにも秘密はあるみたいだけど?とりあえず、あの子のことをお互い大切に思ってるってことでOK?」
「ああ。」
「それなら、何かあった時は協力してくれるでしょ。」
「わかった。」

これ以上は問い詰めても無駄だろう。
とりあえず、傷つけるつもりは無いとわかったから今はこれで引き下がるか。
私はこいつの秘密なんてどうでもいい。
ただ詩織が傷つきさえしなければ。
こいつのせいでもし詩織になにか起こったらたとえあの子の大切な人であろうと容赦しない
でも、多分それはこいつらも同じなんだろう
眼がそう語ってる。