目の前には、暗闇に立つあなた。あなたは、私を見つめている。ただ、ひたすらに。
どっちから、近づいたのか分からないが気がつくと、私達は抱き合っていた。
顔をあげると、キスが降ってきた。それから、私達はお互いを求めあった。
声をあげながら、夜が終わりを告げるまで愛し合った。
そして、どっちからさよならを告げたのか分からないが、私達は自分のいるべき場所へ戻っていった────。
こんな日に、私はキャンパスに絵を描いている。あなたとの思い出を込めた絵を。
…もう、あなたとは会えない。別れを告げられた。
あなたは明日の朝に、東京へと行ってしまう。だから、別れを告げられた。
まだ、一緒にいたい。離れたくない。遠距離でも、いいじゃないと私は思った。でも、あなたは嫌な様子。
だから、別れを告げられた。
そう思うと、涙が出てきた。キャンパスにぽたぽたと水玉模様を描いていく。
ぽーんぽーんと時計の音がした。アンティークな時計だから、音がなるんだなぁ…。
そして、私はふと顔をあげた。すると、窓から月明かりが漏れていた。
私は、窓辺に行った。月明かりは、私を優しく包み込んでいた。
今宵は満月。嫌なことも嬉しいことも忘れさせてくれる。明日___今日は、あなたが旅立つ日。
最後に会いたいなぁ……。