いつも通りの帰り道。

いつもとちがうのは、遙がいないことぐらい。

遙がいないことの静かさを、良くも悪くも噛みしめていると、

「ーひゃぁ、」

階段を踏み外して転落……?

しなかった。

腕を誰かに強く引っ張られ、誰かにもたれかかる。

誰かに助けられた。そう判断した私は、すぐにお礼を言う。

「助けてくれて、ありがとうございました!」

頭を上げると、そこには黒いニット帽にサングラス、白い紙マスクを着けた怪しい男が立っていた。